2025年2月12日水曜日

SUPERBOWL59

  イーグルスの勝因(チーフスの敗因)をMaSoniとKohNoが分析しました。

① イーグルスディフェンスラインの強さが桁外れだった

これはSuperBowlの解説でも言っていましたが、ディフェンスラインが重量級かつ破壊的だったのが想像以上でした。通常はQBにプレッシャーを与えるのは3から4人、たまにブリッツと言って後ろの選手も突撃して5人6人が迫ることもありますが、今回のイーグルスは4人だけでブリッツ無し。チーフスの最大の弱点であるオフェンスラインの弱さもあり瞬時に崩してしまう。さらに4人のうちのDEの二人がQBに両横から攻め込みマホームズは逃げ場無し。得意の逃げながら活路を見いだす戦略は封じ込められました。さらにラン攻撃も不調で打つ手無し。イーグルスからすればQBに突撃するのは4人だけなのであとの7人はランにだけ注意しつつ最大4人のパスレシーバーをカバーすればいいのですから、パスレシーバー4人対パスカバー7人ではさすがのマホームズもレシーバーを見つけられません。結果、6QBsacks、2interceptionsという散々な結果。さらにイーグルスのランディフェンスも完璧でさすがの名将アンディー・リードもオフェンスラインを増やしたりしていましたがその戦略で対応することは出来ませんでした。きっとチーフスからすると悪夢だったでしょう。一方イーグルスのデフェンシヴコーディネーターのヴィック・ファンジオもおそらくびっくりでしょう。プランHまで用意していたのにプランAだけでゲームが終わっちゃったみたいな感じでしょうか。あっけなさ過ぎ。

② イーグルスRBセイクアァン・バークリーの存在

チーフスディフェンスはよくやりました。イーグルスのラン攻撃の中心であり、おそらく攻撃戦略の要であったバークリーをほぼ完全に封じ込めました。しかし・・・・。おそらくこれはイーグルスの戦略でしょうが、1回に2ヤードくらいしか前に進めなくてもひたすらバークリーのランが続き、攻撃の2回に1回はバークリーです。万が一バークリーのランが守備を抜けると60ヤード越えの長距離になるのは目に見えているのでチーフスディフェンスは常にバークリーの挙動に注目せざるを得ません。結果的にディフェンスのパスカバレッジがコンマ数秒遅れてしまい、その穴をついてイーグルスがパス攻撃を仕掛けられます。バークリーは10ヤード越えのゲインはほとんど無くタッチダウンも無く、数値だけ見たら今ひとつの結果ですが、それでも常に全力でプレーして敵チームディフェンスの注意力を分散させた功労者であり間違いなく影のMVPです。そしてこの戦略を考えたであろうオフェンシヴ・コーディネータのケレン・ムーアのお手並みは見事でした。

③ イーグルスQBジェーレン・ハーツのパフォーマンスが今シーズン1番の出来だった

シーズン中一時はボールを持ちすぎて捕まってしまったこともありました。脳震盪で戦線離脱をしたこともありました。しかし特に脳震盪からの復帰後は無理をせず、時には短いパスでレシーバーに後を託すようなプレーが出始めてから調子がうなぎ登り。そしてSuperBowlではショートパス、ロングパス、捕まりそうになってスクランブルと好プレーが頻回に出来るようになり気づけば40得点。もちろん彼のプレースタイル改善にはなんとかしてくれるAJブラウン、デヴォンタ。スミス、ダラス・ゴダート、セイクァン・バークリー達の存在が大きいこともあります。その全てがかみ合ったSuperBowlでした。

④ イーグルスはチーム全体が絶好調だった

2024シーズンのイーグルスの特徴を一言で言うと若手の躍進となります。新人CBキニヨン・ミッチェル、DBクーパー・デジーンの成長と活躍は特にすごいモノがあります。2年目のDTジェーレン・カーターは昨年に続き大暴れ。同じ2年目のOLBノーラン・スミスも躍進しました。さらにベテラン勢も大活躍、ケガからSuperBowlに復帰したDEブランドン・グラハムは7年前のSuperBowl優勝経験者で頼れる存在でありムードメーカーでもあります。少ない活躍場面で見事パスカットを決めたCBアヴォンテ・マドックス、Lionsから出戻ってきたCJGJなど選手に恵まれ、しかも調子をあげたり成長したりケガから復帰したりしてほぼ全ての選手が持てるパフォーマンスを最大に発揮できた夢の舞台でした。

⑤ 運命の女神が微笑んだのはイーグルスだった

芝生に滑ったり、足が引っかかったりとしたシーンは両チームともありましたが、イーグルスにはまだ次があるときに、チーフスにはもう後が無いときに起きています。これを運命のいたずらと言うなら運命の女神は間違いなくチーフスに意地悪です。些細なことですらチーフスにとっては大きな痛手となっていたはずです。

Fly Eagles Fly

  やりました。フィラデルフィア・イーグルスがカンサスシティー・チーフスに圧勝して、スーパーボウルチャンピオンです。NFLファンでない人には何のこっちゃ?ですが、熱烈なイーグルスファンのMaSoni、KohNo、AKには最高のイベントでした。

 日本のニュースはチーフスのQBパトリック・マホームズやテイラー・スイフトの恋人TEトラビス・ケルシーばかりに注目してチーフスの史上初のスーパーボウル3連覇なるかみたいな視点でしか報道していませんが、イーグルスファンからするともっとフットボール自体に注目して報道して欲しかった。そうすればけっこういい勝負になりそうな期待感が高まっていたと思いますが、NFL自体が日本ではあまり人気が無いので仕方がありません。

 さて、そのフットボールに注目するとどうしても点を奪い合うスポーツなので攻撃にばかり注目しがちですが、NFLファンなら皆知っていることですが守備の強いチームが勝つ確率が非常に高いのが常識です。そして両チームを比べると正直ほぼ守備は互角、特に両チームともパスレシーバーを徹底的に押さえ込む能力が高く、それを攻撃陣がどう崩すかが勝負の分かれ目だと思っていました。

 イーグルスの弱点はQBジェーレン・ハーツに好調不調の波があること、イーグルスの強みはRBセイクァン・バークリーが桁外れにランで活躍することとディフェンスに隙が無いことです。一方チーフスの弱点はオフェンスラインがあまり強くなくポケット(QBがパスレシーバーを探すまでの敵のいない空間)が長持ちしないこと、RBのパチェコガがケガから復帰後の調子が完全で無いこと、強みはQBマホームズがポケット崩壊後も逃げながら走り込んだりパスを投げたりと幅の広い攻撃で活路を見いだせる類い希な才能の持ち主であることとディフェンスが強いことです。

試合前はマホームズの才能でチーフスがイーグルスのディフェンスに穴をあけるのか、バークリーの脚でイーグルスがチーフスディフェンスを崩すのか、その勝負かなと思っていましたが、結果はそのどちらでもなくイーグルスの大勝になりました。

 勝因の分析はすぐに別記事にしますが、あまりのイーグルの勝ちすぎな内容に試合終盤はチーフスが心配になって同情してしまうほどで、正直「やったー!」ではなく「チーフス大丈夫?」という不思議な感情で観ていました。

 とは言え7年ぶりのスーパーボウルチャンピオンです。すぐに優勝関連グッズをネットで注文、合計は10万円超え。関税が怖い。

2025年1月26日日曜日

どうしてワクワクする?

  演奏会を聴きにいってきました。ミューザ川崎でサントゥ・マティアス・ロウヴァリ指揮、フィルハーモニアの公演、三浦文彰ショスタコーヴィッチのヴァイオリンコンツェルト1番、辻井伸行チャイコフスキーのピアノコンツェルト、そしてシベリウス交響曲5番でした。

 とっても盛りだくさんでしたが、最初のショスタコーヴィッチが一番印象に残っています。MaSoniはいつの頃からかショスタコーヴィッチがなぜがお気に入りです。気が狂いそうな曲しかないのになぜだろうとずっと思っていましたが、今回の公演でそれがよくわかりました。

 それは、楽しいからです。気が狂いそうな不協和音の連続なのに聴いているとワクワクしちゃうんです。まずは第1楽章でいきなりスローなバイオリンを中心とした静かな狂気がホールを支配します。第2楽章に入ると徐々に賑やかになり、やがて来るぞ来るぞと思っていると(曲を知っているからかもしれませんが)予想通り狂気が爆発しますが、そのテンポの良さがノリの良さになってなぜか心地いいのです。第3楽章は途中から長いカデンツァになりバイオリンの技巧と静かに荒れている狂気が走り始め第4楽章につながってテンポ良く爆発して曲が終わる。気がつくと心地よくない不協和音なのにオーケストラあちこちからはじけてくるリズム感に心だけでなく身体もワクワクしてしまっている自分に気づいています。終わった直後の感想は「あー楽しかった」でした。KohNoもAKも楽しかったと言っていました。特にAKはCDで聴いているとすごく嫌がるのに今回は超楽しそうです。後で同じ曲をCDで聴いてみましたがあのノリはありません。ショスタコーヴィッチの曲はホールで生で聴かないといけないのかもしれません。

 思えばフィラデルフィアで友人に誘われていった初めてホールに聴きにいった曲もショスタコーヴィッチのバイオリンコンツェルト1番でした。あの時はただ曲に圧倒されていましたが、もしかするとその時にショスタコーヴィッチが脳裏にすり込まれたのかも。


2025年1月16日木曜日

5人

  なんとなく面白い映画をやっていないかな、と映画館のスケジュールを見ていたらJAWSがIMAXで上映されています。何で今頃?とおもいつつネットで調べたらスティーブン・スピルバーグIMAX祭でJAWS、E.T.、ジュラシック・パークを上映するそうでまずは第一弾としてJAWSが上映されていたのです。

 早速、グランベリーに行って観てきました。迫力の大画面で観るJAWSはスクリーンに引き込まれグイグイと迫ってきます。当初グロいシーンは最低限ながら徐々に観客の想像力をかき立て恐怖心をとことん煽って、後半は一気に特撮のサメの口がスクリーンに広がり恐怖心マックスの見事さです。今ではCGでもっとリアルっぽいシーンでさらに怖くすることが出来るかもしれませんが、特撮時代ならではの見せないで観客の想像力を最大限利用する構成が逆にCG時代にはない怖さを演出しています。さらにジョン・ウィリアムズの有名な音楽も一役買って観る人は最高のスリルを味わうことが出来ます。一緒に連れて行かれたAKは恐怖で心臓が2回ほど止まっていました。

 50年ほど前の公開時はまだ小学生だったので映画館には行かずTVでしか観たことは無かったので、観に行って良かったと心底思いました。2200円は一般的には安くはありませんが、十分満足です。

 残念なのが観客の少なさ。平日朝とは言え名作のIMAX化、しかも期間限定公開なのにたったの5人。もったいない。

 それからロバート・ショウがいい味出してたのも良かった。ちょうど数日前にDVDでスティングを観たばかり、さらに数ヶ月前には007ロシアより愛を込めてを観たばかりで、「おお、ここにもいたか」という感じでした。彼はJAWS公開の3年後に急死したそうです。実に存在感のある名優です。