イーグルスの勝因(チーフスの敗因)をMaSoniとKohNoが分析しました。
① イーグルスディフェンスラインの強さが桁外れだった
これはSuperBowlの解説でも言っていましたが、ディフェンスラインが重量級かつ破壊的だったのが想像以上でした。通常はQBにプレッシャーを与えるのは3から4人、たまにブリッツと言って後ろの選手も突撃して5人6人が迫ることもありますが、今回のイーグルスは4人だけでブリッツ無し。チーフスの最大の弱点であるオフェンスラインの弱さもあり瞬時に崩してしまう。さらに4人のうちのDEの二人がQBに両横から攻め込みマホームズは逃げ場無し。得意の逃げながら活路を見いだす戦略は封じ込められました。さらにラン攻撃も不調で打つ手無し。イーグルスからすればQBに突撃するのは4人だけなのであとの7人はランにだけ注意しつつ最大4人のパスレシーバーをカバーすればいいのですから、パスレシーバー4人対パスカバー7人ではさすがのマホームズもレシーバーを見つけられません。結果、6QBsacks、2interceptionsという散々な結果。さらにイーグルスのランディフェンスも完璧でさすがの名将アンディー・リードもオフェンスラインを増やしたりしていましたがその戦略で対応することは出来ませんでした。きっとチーフスからすると悪夢だったでしょう。一方イーグルスのデフェンシヴコーディネーターのヴィック・ファンジオもおそらくびっくりでしょう。プランHまで用意していたのにプランAだけでゲームが終わっちゃったみたいな感じでしょうか。あっけなさ過ぎ。
② イーグルスRBセイクアァン・バークリーの存在
チーフスディフェンスはよくやりました。イーグルスのラン攻撃の中心であり、おそらく攻撃戦略の要であったバークリーをほぼ完全に封じ込めました。しかし・・・・。おそらくこれはイーグルスの戦略でしょうが、1回に2ヤードくらいしか前に進めなくてもひたすらバークリーのランが続き、攻撃の2回に1回はバークリーです。万が一バークリーのランが守備を抜けると60ヤード越えの長距離になるのは目に見えているのでチーフスディフェンスは常にバークリーの挙動に注目せざるを得ません。結果的にディフェンスのパスカバレッジがコンマ数秒遅れてしまい、その穴をついてイーグルスがパス攻撃を仕掛けられます。バークリーは10ヤード越えのゲインはほとんど無くタッチダウンも無く、数値だけ見たら今ひとつの結果ですが、それでも常に全力でプレーして敵チームディフェンスの注意力を分散させた功労者であり間違いなく影のMVPです。そしてこの戦略を考えたであろうオフェンシヴ・コーディネータのケレン・ムーアのお手並みは見事でした。
③ イーグルスQBジェーレン・ハーツのパフォーマンスが今シーズン1番の出来だった
シーズン中一時はボールを持ちすぎて捕まってしまったこともありました。脳震盪で戦線離脱をしたこともありました。しかし特に脳震盪からの復帰後は無理をせず、時には短いパスでレシーバーに後を託すようなプレーが出始めてから調子がうなぎ登り。そしてSuperBowlではショートパス、ロングパス、捕まりそうになってスクランブルと好プレーが頻回に出来るようになり気づけば40得点。もちろん彼のプレースタイル改善にはなんとかしてくれるAJブラウン、デヴォンタ。スミス、ダラス・ゴダート、セイクァン・バークリー達の存在が大きいこともあります。その全てがかみ合ったSuperBowlでした。
④ イーグルスはチーム全体が絶好調だった
2024シーズンのイーグルスの特徴を一言で言うと若手の躍進となります。新人CBキニヨン・ミッチェル、DBクーパー・デジーンの成長と活躍は特にすごいモノがあります。2年目のDTジェーレン・カーターは昨年に続き大暴れ。同じ2年目のOLBノーラン・スミスも躍進しました。さらにベテラン勢も大活躍、ケガからSuperBowlに復帰したDEブランドン・グラハムは7年前のSuperBowl優勝経験者で頼れる存在でありムードメーカーでもあります。少ない活躍場面で見事パスカットを決めたCBアヴォンテ・マドックス、Lionsから出戻ってきたCJGJなど選手に恵まれ、しかも調子をあげたり成長したりケガから復帰したりしてほぼ全ての選手が持てるパフォーマンスを最大に発揮できた夢の舞台でした。
⑤ 運命の女神が微笑んだのはイーグルスだった
芝生に滑ったり、足が引っかかったりとしたシーンは両チームともありましたが、イーグルスにはまだ次があるときに、チーフスにはもう後が無いときに起きています。これを運命のいたずらと言うなら運命の女神は間違いなくチーフスに意地悪です。些細なことですらチーフスにとっては大きな痛手となっていたはずです。